ブログを始めたきっかけ

橋本病になる前から、私はスマホの無料アプリを使い、日々の体調に関する記録をつけていた。生理不順気味かつPMSもあったので、直前の生理がいつだったか、体調はどうだったかなど、あとから振り返る際にも便利だった。

長年にわたって利用していたそのアプリが、ある日突然、サービスを終了すると通知してきた。二年ほど前のことなので細かいことはもう忘れたけど、確か、これまでの記録は何か手順を踏めば、どこかに移すことができるというような内容だったと思う。ただ、その手順がちょっと面倒だった。

私は考えた。何年も前の体調の記録を、今さら見返すことってあるのかな。データを移行したところで、もう見ることもないんじゃないか?

捨てるのが大好きなミニマリストの私。常に、不要なもの、無駄にとってあるものを探している。捨てるのは快感だ。

私は、アプリを放置し、記録は消えるに任せることにした。

ただ、消える前に、一度だけ見返してみようと思った。アプリを開く。画面はカレンダー形式で構成されている。何年もさかのぼってみると、2016年から2017年にかけて、一番体調が悪かった頃の記録が出てきた。

日を追うごとに、体調に関する記述が増えていく。カレンダーは、体調不良を示すアイコンでびっしり埋め尽くされていた。自由記述を読むと、お腹の調子が悪いとか、古漬けのようなにおいのおならが出るとか、今となっては忘れていた症状も書かれていた。

忘れていたということは、その症状から解放されて久しいということで、喜ぶべきことだ。その一方で、貴重な記録が消えてしまうのが惜しいような気もした。なぜならそれは、まぎれもない私の体感、経験であり、苦しみながら生きていた日々の集積だったから。

一瞬、消すべきかどうか迷う。だけど、記録の中には、嫌なことがあって精神的にダメージを受けた、など思い出したくない出来事も含まれていた。

時間の経過とともに、すべての出来事は過去のものになる。形あるものは、いつか壊れる。それは世の常だ。

断捨離しよう。アプリのサービス終了は、いいきっかけだったと思うことにした。

そして、与えられたデータ移行期間を過ぎ、私の記録はすべて消えた。

初めは、詳細な記録は消えても、自分で覚えていればそれでいい、と思っていた。自分の頭で覚えていられるだけの記憶が残っていれば、それでいいと。

でも、その記憶もいつかは薄れ、思い出すこともなくなるかもしれない。ある時思い出そうとしても、もう思い出せないかもしれない。記録が消えて、早二年。大切な記憶を、自分のために文章という形で残しておきたい気持ちになり、このブログを始めることにした。

それから。もし今後身近に、同じ橋本病になって苦しんでいる人が現れたら、私の経験が何かの役に立つかもしれない。ブログという形にして公開することで、見ず知らずの誰かの役に立てることも、あるかもしれない。私が療養していた時は、情報が少なくてとても困ったから。

そんな気持ちで、忘れっぽい私は、今覚えていることを少しずつ、書き留めておこうと思った。